お知らせ・日記

HIROKA KISHIMOTO

廣瀬染工場へ。

モノづくり

江戸小紋

帯が合わせやすく、
コーディネイトがしやすい。
そして何といっても品がいい着物。

私は江戸小紋が大好きで
着物初心者の方にはよくお勧めします。


先日念願の江戸小紋を染めている
廣瀬染工場へ行ってきました。


(中央が廣瀬雄一さん)

廣瀬さんを知ったのは
6年前のテレビ東京「ソロモン流」という番組。
とにかく目力が印象的で、
江戸小紋に対する熱い念い(おもい)が
ビシビシ伝わってきて、

いつかこの方にお会いしてみたい!
そう思い続けてお会いできたのが
1年5か月ほど前。
阪急百貨店での催事でした。


ウィンドサーフィンでシドニーオリンピックの
強化選手として活躍した廣瀬さん、
大学卒業後、家業である「廣瀬染工場」を継ぎ
江戸小紋職人となりました。
雄一さんで四代目、100年続く老舗の工場です。


今回はブランディングデザインをしてくれている
佐藤豪人さんも一緒に。

工場の目の前にはせせらぐ川
木々が立ち並ぶ気持ちのいい場所に
廣瀬染工場はあります。




伝統を感じるご実家の佇まい
この風格にまず感動。

 

通してくだったお部屋には裃と着物が。



江戸小紋は江戸時代、
武士の裃に使われ流行したもの。

華美なものは良しとしない風潮の中、
遠くから見れば地味な無地に見えますが
近くに寄ると細かい模様が無数にあって
オシャレを楽しんだ。
何とも江戸の粋を感じます。

お話をしていて思わず写真を撮りたくなった
廣瀬さんの手。


細身の体とは反対に、
大きくてしっかりとした手。
伝統技術を受け継いでいく手は
程よくふくよかで力強さがあります。


工房へご案内くださった廣瀬さん。

生地に染めていく素となる
もち米・赤ぬか・白ぬかを
混ぜたものに

染料を入れて色決めをしていきます。


糊の状態で見る色より、
染めると薄くなるので
小さな蒸し器で試し染めをし
何度もチェック。

「似たような色は出来ても
二度と同じ色は出来ない。」と廣瀬さん。

だからこそ、
人の手によって作られた着物は出逢い。
同じモノにはお目にかかれないのです。


6反入れられる蒸し器、
「新しいですね」とお話ししたら
「すぐに腐ってしまうんです」とのこと。

使用開始日が書かれていて可愛いですよね。

次にご案内してくださったのは
何千枚とある型紙の部屋、
このお部屋の他にもう一部屋が。

きちんと管理されていて
どこに何があるのかもすぐに分かるそう。

端切れも見本として残されていて

ネクタイの柄はとても洋チックでモダン。

江戸小紋は1色と習っていた私としては
驚きでした。

 

工房では実演で丁寧に教えてくださいました。

板に生地を張り


乾いていては使えない型紙を濡らし

 


木べらを持ち防染糊を塗っていきます。
防染糊の部分は色が染まりません。


(小さな点が型紙との合わせ印)

型紙が印で合うよう、
何度も繰り返し確認しながら
型紙を置いていきます。


木べらと伊勢型紙が擦れる音、
リズミカルで気持ちがいいんです。

染められた生地は水洗いした後
外で天日干し。
この日は廣瀬さんデザインのサメ模様の
ストールが干されていました。


この他にもたくさんの工程があり
江戸小紋は作られています。

そして関わる人もたくさん。
伊勢型紙を作る人、デザインする人
型紙を彫る人、道具を作る人、
染める人などなど。

一反の反物に多くの職人さんの
技術や知恵、念いが込められています。
一人でも欠けていれば完成していない反物。
(フランス縞の江戸小紋
インスタで拝見して、見たかった柄なんです)


「着物は高い」とよく聞きますが、
誠実にモノづくりをされている
作り手さんたちの技術、手仕事、工程を見れば、
着物の価値を考えさせられます。
本当に高いのかな?って。

実際、呉服屋さんによって
金額が全く違うのも事実です。

信頼信用によって買われる方も多いと思います。
私もそうですが、本質を見る目を
もっと養わないといけませんね。

 

廣瀬さんの人柄とクリーンなエネルギー
どの作品にも誠実に向き合い
技術を伝承していく姿を拝見して、
本当の着物の価値を伝えていきたいと
思わさせていただきました。

 

そして廣瀬さんが何度も仰った

「感性が大切」

日々の暮らしの中には
たくさんの刺激があります。
その刺激を感じとる能力。
これも本質を見る為には欠かせないですね。


廣瀬染工場さんへ伺い
益々江戸小紋の魅力に引き込まれました。
廣瀬さん、本当にありがとうございました。