お知らせ・日記

志村ふくみ展 いのちを織る

特別な日

昨日、ワクワクしながら着物を選び
楽しみにしていたこととは

姫路市立美術館で開催中の
「志村ふくみ展 いのちを織る」でした。




着物はこちらにいたしました。
生紬の訪問着にふくみさんと親交のある
新垣幸子さんの八重山上布の名古屋帯。

志村ふくみさんは染色家であり
紬織で重要無形文化財保持者になられた方です。

自ら野山に足を運び、
採取した植物の命をいただき色を採る。
そしてその色で糸を染め
ふくみさんの感性で織り合わせた紬の着物。

それはそれは圧巻でした。

こんなに一堂にふくみさんの作品が並ぶと
上品でありながらとても強いエネルギーを
感じずにはいられませんでした。

ふくみさんの想いや
植物やお蚕さんのエネルギーは宇宙レベル。
ふくみさんが芹沢銈介さんに
紋織をするのか平織をするのか尋ねられた時
「平織をやります!」と仰ったそう。

その理由は「平織は宇宙と深く関係していることが
織っていて分かったから」とありました。

そして「毎回毎回植物から色を採っていると
いろんなメッセージが来ます。
毎回必ずです。」そう仰っています。


自然の恵みに感謝し共に生きてきた
ふくみさんだからこそ感じられる感性。
自然は何を伝えようとしているのか、
それは着物からしっかりと伝わります。

紫根で染めた紫の着物。

こちら有名な源氏物語シリーズの一つで
「紫の壱」という作品。

こちらの着物は野生の紫根で染められています。
昭和49年の作品です。
この頃は紫根はたくさん自生していたそうで
これだけ濃い色を染めるのですから
たくさんの紫根が必要だったと思います。


もう一つの紫根で染めた着物。

こちらも同じく源氏物語シリーズ
「夕顔」という作品です。
こちらは平成15年の作品。

栽培した紫根で染められています。

お色の濃淡の違いはありますが
野生の紫根で染めた方に
力強さを感じませんか?

この違いは何なのか
やはり植物自体が持つエネルギーの違い。

ふくみさんは御年95歳
未だに自然から学び続け
恩恵に感謝すること
地球を愛することを教えて下さっています。


植物の持つ力は
人間が測りきれるものではありません。
時には想像以上に優しく包み込み
時には思いがけなく主張して来る。

今回の展示作品の中で
とても目を惹かれた作品があります。
それは「常寂光寺の桜」という作品。

桜から採取した色で染めているのですが
きっと皆さん、淡い優しいピンク色を
想像しませんでしょうか?

それが全く違い
まるで本物の銅のように煌めく
とても力強いお色。

紺色の糸と組み合わせているので
その銅色がより映えて存在感が出ています。
なぜこのような色になったのか…

桜の力を侮ってはいけませんね。
植物は人間が想像する以上の
力を持っています。

人間の勝手な都合で壊されるのですから
植物自体、地球自体に
力強さがなくなっているのは当然です。

もっと自然を地球を大切に愛していきたい。
そう思わせていただいた
ふくみさんの展示会でした。

この展示品は8/4から替わり
また違う作品が並びます。
是非、前期後期と足をお運びください。

私もまた伺おうと思っています。