帯に込められたラブストーリー
想い明後日からは霜月ですね。
気づけばあっという間に
年を越えてしまいそうです。
残り2ヶ月、一日一日を大切に
過ごしたいと思います。
昨日は成人式前撮りの
着付けをさせていただきました。
お召し物はこちら
事前準備に行かせていただいて
一番目を惹かれたのがこの帯でした
この帯は丸帯です。
人生で丸帯を見たのは2回目
初めて見たのは母の物でした。
丸帯は礼装、正装用の
最も格調の高い帯ですが、
広巾に織られ、それを二つ折りにして
端を縫い合わせ芯を入れています。
表も裏にも刺繍などの模様があるので
厚みがしっかりとあり、
結ぶのが難しく、重いので
今では使われる方が
ほとんどいらっしゃいません。
現在では、花嫁、芸妓、舞躍の衣装などに
用いられています。
この丸帯の美しさはご覧の通り
深みのあるいい色
そして、豪華さの中に品がある
この刺繍がとても素敵なんです。
この帯に合う帯結びを考えていると
どうしても「古典」「品よく」
という言葉が頭に浮かびました。
お着物はお母様から譲り受けた
総絞りの振袖、古くからの技法で
気の遠くなるような細かい手作業
そんなお着物には
現代的でなく古典的な帯結びが
確かに合います。
そこで、未成年皇族の方々が結ばれる
「ふくら雀」
この「ふくら雀」を基本として、
少しアレンジしたものにしよう!
と考えました。
本当に上品な帯結びです。
そして、当日。
お着付けが始まる前に
帯についてのお話を教えていただきました。
この丸帯は曾祖父様が
「いつも綺麗でいて欲しい」と
曾祖母様にプレゼントした帯なんだそうです。
曾祖父様はとにかく奥様に
綺麗な格好をしていて欲しくて
よくお召し物をプレゼントしていたとのこと。
そんなジェントルマンが
昭和初期にいらしたなんて!
素敵です!
素敵すぎます!
妄想好きの私の頭の中に
スーツ姿が似合う、オシャレでモダンな
白州次郎さんのような方が
ふっと浮かびあがりました。
タイムマシーンがあったら
お会いしてみたーーい!
(既に死語ですけど笑、
「モダン」って言葉が似合う男性が今いると
めちゃめちゃ格好いいでしょうね。)
曾祖母様はきっと、
ご自身を大切にしてくださる
曾祖父様に感謝し、この帯を大切に、
娘、孫、曾孫、そしてその先へと
残していきたいと思われたと思います。
実際、その念いがとても伝わる帯でした。
ですから、現代風の華やかな帯結びに
するのではなく「古典」「品よく」
帯自体をご覧いただき、
帯の念いを感じていただきたい、
そう思わせていただいた帯でした。
四代継いで結ばれた帯
きっと、この帯は五代目にも
このラブストーリーと共に
受け継がれて行くと思います。
着物にはストーリーがある。
また幸せな気持ちにさせていただいた
お着付けでした。